年金の手取りのしくみ(かんたん解説)
65歳以上の人の年金からは、介護保険料・健康保険料・住民税・所得税の4つが引かれます(年金が年18万円以上の場合。所得税は年金が一定額以上の場合)。年金が少ない人は税金がかからず、保険料も安くなるため、手取りは額面の9割を超えます。年金が多い人ほど引かれる割合は大きくなります。
| 引かれるもの | 決まり方 | 年金200万円の例 |
|---|---|---|
| 介護保険料 | 市区町村の基準額×所得の段階ごとの割合 | 約9万円 |
| 国民健康保険料(65〜74歳)/後期高齢者医療保険料(75歳以上) | 所得に応じた額+1人あたりの額。所得が少ないと1人あたりの額が7割・5割・2割安くなります | 約9〜10万円 |
| 住民税 | (所得−保険料−基礎控除43万円など)×10%+均等割。単身で年金155万円以下ならかかりません | 約3万円 |
| 所得税 | (年金−控除)×5.105%で天引き。年金が年214万円未満なら引かれません | 0円 |
年金200万円の例は、東京23区・単身の場合です。住民税と保険料は、去年の年金の額で決まります。
年金額別の手取り早見表(東京23区・単身)
| 年金(年額) | 65〜74歳の手取り | 75歳以上の手取り |
|---|---|---|
| 100万円 | 約94.3万円 月7.8万円 | 約94.8万円 月7.9万円 |
| 150万円 | 約142.8万円 月11.9万円 | 約143.3万円 月11.9万円 |
| 180万円 | 約163.3万円 月13.6万円 | 約164.0万円 月13.6万円 |
| 200万円 | 約177.6万円 月14.8万円 | 約178.6万円 月14.8万円 |
| 250万円 | 約214.8万円 月17.9万円 | 約216.2万円 月18.0万円 |
| 300万円 | 約252.7万円 月21.0万円 | 約254.3万円 月21.1万円 |
| 400万円 | 約331.8万円 月27.6万円 | 約333.7万円 月27.8万円 |
| 500万円 | 約410.5万円 月34.2万円 | 約412.6万円 月34.3万円 |
令和8年度の保険料・税率で計算(介護保険料は世田谷区の基準額)。手取りは1,000円未満を切り捨て。下の小さい数字は月あたり(年金は2か月分ずつ振り込まれます)。配偶者の年金が少ない人は、配偶者控除のぶん税金が安くなりますが、65〜74歳は国民健康保険料が夫婦2人分になります。
計算のしかた
年金の所得 = 年金 − 公的年金等控除(65歳以上で年金330万円未満なら110万円)
① 介護保険料 = 基準額 × 段階の割合(住民税がかかるかどうかと所得で決まる)
② 健康保険料 =(所得−43万円)× 所得割の率 + 均等割(+平等割)
③ 住民税 =(所得 − 保険料 − 基礎控除43万円)× 10% − 調整控除 + 均等割5,000円
④ 所得税(天引き)={年金 − 保険料 −(月割の年金×25%+10.5万円。最低17.5万円)×12}× 5.105%(年金242万円超は10万円・最低16.5万円)
※税金のかかる所得は1,000円未満、住民税・保険料は100円未満を切り捨て。所得税の天引きは扶養親族等申告書を出した場合の計算です。
たとえば東京23区に住む70歳・単身・年金200万円の場合、年金の所得は 200万円−110万円=90万円です。
- 介護保険料:住民税がかかり所得120万円未満なので第6段階。基準額75,360円×1.2=90,432円
- 国民健康保険料:所得90万円−15万円=75万円が2割軽減の範囲(74万円超100万円以下)。(90万円−43万円)×(7.51%+2.80%+0.27%)+均等割(47,600円+17,600円+1,873円)×0.8 = 103,300円(100円未満切り捨て)
- 住民税:90万円−保険料193,732円−基礎控除43万円=276,000円(1,000円未満切り捨て)。×10%−調整控除2,500円+均等割など5,000円=30,100円
- 所得税:年金が214万円未満なので天引きはなく、本当の税額も 90万円−保険料−基礎控除104万円<0 で0円
手取りは 200万円 − 引かれる額の合計 = 1,776,168円(額面の約88.8%)、2か月ごとの振込は約29.6万円になります。
手取りが変わる主なケース
- 住民税がかからない年金額:単身なら年金155万円以下、配偶者(年金の所得58万円以下)を扶養している人は年金211万円以下が目安です(1級地。地域によって少し低くなります)。この線を超えると、住民税だけでなく介護保険料の段階も上がり、手取りが一気に減ることがあります。
- 年金が少し増えたのに手取りが減ることがある:介護保険料の段階(所得120万円・210万円など)や、健康保険料の7割・5割・2割軽減の線を超えると、保険料が一段上がります。そのため、線のすぐ上では年金が数万円多い人のほうが手取りが少なくなることがあります。
- 75歳になったとき:国民健康保険から後期高齢者医療制度に変わり、保険料は1人ずつになります。65〜74歳の夫婦は、国民健康保険料が世帯主の年金から2人分引かれるのが一般的です。
- 所得税の天引きと本当の税額の差:年金から天引きされる所得税は簡易な計算のため、本当の税額より多いことがあります。確定申告をすると差額が戻ります(年金400万円以下なら申告しなくてもかまいません)。
- 年金を受け取り始めた年・その翌年:住民税や保険料は去年の収入で決まるため、退職した翌年は会社員時代の収入で計算され、年金から引かれずに納付書で払うこともあります。
よくある質問
年金200万円の手取りはいくらですか?
東京23区に住む単身の人の場合、65〜74歳で年約177.6万円、75歳以上で年約178.6万円です。介護保険料が約9万円、健康保険料が約9〜10万円、住民税が約3万円引かれ、所得税はかかりません。2か月ごとの振込は約29.6万円です。
年金の手取りは何割くらいですか?
単身の場合、年金150万円以下ならおよそ9割5分、200万円で約9割弱、300万円で約84%、400万円で約83%が目安です(東京23区)。年金が多いほど、保険料と税金の割合が大きくなります。
住民税がかからない(非課税)のは年金いくらまでですか?
65歳以上で収入が年金だけの場合、単身なら年金155万円以下、年金の所得58万円以下の配偶者を扶養している人は年金211万円以下が目安です(東京23区などの1級地)。住民税がかからないと、介護保険料の段階も低くなり、健康保険料の軽減も受けやすくなります。市区町村によって基準が少し低いところがあります。
年金から引かれるのはいつですか?
年金は偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、前の2か月分が振り込まれます。介護保険料・健康保険料・住民税・所得税も、そのたびに2か月分ずつ引かれます。保険料と住民税は、4・6・8月は前年度の額をもとにした仮の額、10・12・2月は今年度の額との差を調整した額が引かれるため、振込額は時期によって変わります。
年金の確定申告は必要ですか?
公的年金の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、確定申告は不要です。ただし、医療費控除を受けたい人や、天引きされた所得税が本当の税額より多い人は、確定申告をすると税金が戻ります。年金が400万円を超える人は確定申告が必要です。
2026年から年金の手取りは変わりましたか?
所得税は、2026年分から基礎控除が最大104万円に上がり、年金から天引きされる額が少なくなりました(2026年は12月の振込で1年分を精算)。2026年は、11月分までの振込では改正前の控除額で天引きされるため、所得税が多めに引かれ、12月の振込でまとめて精算されます。年間の合計は、このツールの計算に近くなります。所得税が天引きされない年金額も、年205万円未満から214万円未満に上がりました。一方、4月から子ども・子育て支援金が国民健康保険料・後期高齢者医療保険料に上乗せされています(年数千円程度)。住民税は、非課税の基準の式は変わっていませんが、2026年度(2025年の収入)から配偶者控除の対象になる配偶者の所得が58万円以下(年金だけなら168万円以下)に広がりました。
出典
・国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」 nta.go.jp
・国税庁「No.1199 基礎控除」「No.1191 配偶者控除」 nta.go.jp
・日本年金機構「令和8年分 公的年金等の源泉徴収税額の計算方法の変更」 nenkin.go.jp
・日本年金機構「年金の支払日」 nenkin.go.jp
・厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料」 mhlw.go.jp
・世田谷区・横浜市・大阪市・名古屋市・札幌市・福岡市・さいたま市「介護保険料(令和8年度)」
・東京都・神奈川県・大阪府・愛知県・北海道・福岡県・埼玉県の後期高齢者医療広域連合「令和8・9年度の保険料率」(大田区・横浜市・堺市・名古屋市・札幌市・久留米市・さいたま市の案内) city.ota.tokyo.jp
・各市区の「令和8年度 国民健康保険料率」(くわしくは国民健康保険料 計算シミュレーションの出典)
・大田区「住民税(特別区民税・都民税)が課税されない方」 city.ota.tokyo.jp
・江戸川区「公的年金からの特別徴収」 city.edogawa.tokyo.jp
基準:保険料・住民税は令和8年度(2026年4月〜2027年3月)、所得税は令和8年分 最終確認:2026年11月7日
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※このシミュレーションの結果は目安です。実際に引かれる額は、市区町村・後期高齢者医療広域連合・日本年金機構の決定で決まります。個別の判断は、市区町村の窓口・年金事務所や税理士などの専門家にご相談ください。
※計算に入れていないこと:年金以外の収入(給与・事業・不動産など)/65歳未満の人、年度の途中で65歳・75歳になる人/配偶者の収入は年金だけとして計算。配偶者自身の介護保険料・後期高齢者医療保険料・税金、あなたが75歳以上のときの65〜74歳の配偶者の国民健康保険料、65歳未満の配偶者の国民健康保険料・国民年金保険料、ほかの扶養家族は入れていません/住民税と保険料は去年も同じ年金額だったとして、令和8年度の額で計算(住民税は1級地の非課税基準・標準税率。神奈川県の超過課税と横浜みどり税は横浜市だけ反映、名古屋市の減税や各地の上乗せは入れていません。100円未満は市区町村分と都道府県分の合計で切り捨て(練馬区の計算例に合わせた処理。別々に切り捨てる市区町村では最大100円少なくなります))/介護保険料は国の標準の13段階の割合×各市区の基準額で計算(市区町村が独自に決めている段階・割合とはずれます。東京23区は世田谷区の基準額、「その他の地域」は全国平均の基準額と7都市の平均の健康保険料率)/国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の独自の減免、後期高齢者医療の「被扶養者だった人」の軽減、東京都以外の所得割の独自の軽減、一部の区の国民健康保険料率の違い、75歳以上の配偶者は国民健康保険から移った人(特定同一世帯所属者)として軽減を判定/神奈川県の後期高齢者医療の10円未満の端数処理/所得税の天引きは、日本年金機構から1か所で受け取り扶養親族等申告書を出した場合の目安(令和8年分の控除額で1年分を計算。各回は月割額×25%+10.5万円、12月は精算の11万円を使用。令和8年は実際には11月の支払分まで改正前の額で引かれ、12月に1年分が精算されます。2027年以降の12月の扱いは未確認)。共済組合・企業年金など複数から受け取る場合、1回ごとの端数、4〜8月の仮徴収と10〜2月の本徴収の違いは計算していません/生命保険料控除・医療費控除などほかの控除、障害者控除・寡婦控除など/年金が年18万円未満の人の納め方(納付書)