老後資金のしくみ(かんたん解説)
老後資金は、「仕事をやめたあとの毎月の生活費」から「年金でまかなえる分」を引いた毎月の不足額に、老後の長さをかけて求めます。そこから、いまある貯蓄を引いた残りが「足りない額」です。年金の額や生活費は人によって大きく違うため、平均の数字ではなく、自分の数字で計算することが大切です。
年金だけで足りる?(65歳以上の無職の世帯・月あたり)
| 夫婦のみ | ひとり | |
|---|---|---|
| 収入(ほぼ年金) | 約25.4万円 | 約13.1万円 |
| 生活費など | 約26.4万円 | 約14.8万円 |
| 税金・保険料 | 約3.3万円 | 約1.3万円 |
| 不足 | 約4.2万円 | 約3.0万円 |
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年」より。平均的な世帯の数字で、全員に当てはまるわけではありません。
生活費の目安(夫婦2人・月あたり)
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 最低限の日常生活費 | 23.9万円 |
| ゆとりある老後生活費 | 39.1万円 |
生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和7年度より。ゆとりのための上乗せは15.2万円です。
年金が変わると、必要な額はどう変わる?(夫婦・生活費26万円・65歳から)
| 年金(月) | 毎月の不足 | 90歳まで | 95歳まで |
|---|
税金・保険料は、年金額に対して12.9%として計算しています。貯蓄を引く前の「必要な合計額」です。
計算のしかた
必要な合計 = 毎月の不足 ×12か月× 年数(60歳でやめる人は、60〜64歳の生活費もたす)
足りない額 = 必要な合計 - 貯蓄
毎月の積立 = 足りない額 ÷ 退職までの月数
※税・保険料の割合は、家計調査から夫婦12.9%、ひとり9.9%としています。すべていまのお金の価値で計算し、物価上昇は考えません。
たとえば、40歳の夫婦で、生活費26万円、年金23万円、貯蓄500万円、65歳で退職、90歳まで備える場合:税金・保険料は 23万円×12.9%=約2.97万円なので、毎月の不足は 26+2.97-23=約5.97万円です。25年間(300か月)では 5.97×300=約1,791万円。貯蓄500万円を引くと約1,291万円が足りません。これを退職までの25年(300か月)で積み立てると、1,291÷300=約4.30万円で、画面では切り上げて月約4.4万円になります。
こんなときは注意
- 退職後も働いて収入がある場合は、その収入を「年金」の欄に足して入力するとおおよその不足がわかります(税金・保険料は年金と同じ割合で計算されます)。
- 夫婦で年齢が離れている場合、年下の配偶者の年金は受け取り始めが遅くなることがあります。1966年4月1日以前生まれの女性は、65歳より前に年金を受け取れる場合もあります。この計算では考えていません。
- 持ち家でない場合や、住宅ローンが残る場合は、家賃やローンを「生活費」に含めて入力してください。
- 病気や介護でお金がかかる場合は、この計算とは別に備えが必要です。
- 夫婦の片方が亡くなると、受け取れる年金や生活費は変わります。
よくある質問
老後資金は、いくら必要ですか?
人によって大きく違います。上の例(夫婦・生活費26万円・年金23万円)では、90歳まで備えると必要な合計は約1,800万円ですが、年金が月18万円なら約3,100万円、月28万円なら約500万円になります。まずは自分の年金額(ねんきん定期便)と生活費で計算してみてください。
「老後2000万円問題」は本当ですか?
2019年に金融庁の審議会が公表した報告書で、高齢夫婦の平均的な不足額(月約5万円)が65歳から約35年続くと約2,000万円になる、という計算が話題になりました。ただし、同年6月に担当大臣が、この報告書を正式な報告書としては受け取らないと述べています。平均の世帯での単純計算であり、実際の不足額は人によって違います。自分の数字で計算するのが確実です。
何歳まで備えればよいですか?
令和7年の簡易生命表では、65歳の平均余命は男性19.68年、女性24.52年で、平均では85〜90歳ごろです。ただし平均より長生きする人も多く、夫婦のどちらかが長生きすることもあるため、このツールでは90歳を基本に、95歳の場合も並べて表示しています。
退職金は貯蓄に入れてよいですか?
はい、もらえる見込みの金額を足して入力してください。参考までに、令和5年の就労条件総合調査では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の平均が1,896万円でした(退職金の制度がある企業が対象で、一時金と年金を合わせた額)。会社によって大きく違い、制度がない会社もあるため、会社の退職金規程で確認しましょう。
積立にNISAは使えますか?
NISAは、運用で得た利益に税金がかからない制度です。つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円までで、生涯の上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です(金融庁)。ただし運用には元本割れのリスクがあります。この画面の「運用しない場合」は元本が減らない前提の数字で、「年1%で運用した場合」も確実にその利回りになるわけではありません。商品の選び方は、専門家にご相談ください。
自分の年金額はどこでわかりますか?
毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」や、「ねんきんネット」で見込み額を確認できます。50歳未満の人の定期便は、これまでの加入実績で計算した額なので、今後も働けば増えます。50歳以上の人の定期便は、いまの条件で60歳まで加入し続けた場合の見込み額なので、65歳まで働くとそれより増えることがあります。まずは、その額を年金の欄に入れてみてください。
夫婦の片方が亡くなったらどうなりますか?
受け取れる年金や必要な生活費が変わります。この計算には入っていません。遺族年金については、遺族年金 計算シミュレーションをご覧ください。
あわせて見たいツール
出典
・総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年」 stat.go.jp
・生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和7年度 jili.or.jp
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」(モデル年金は夫婦で月237,279円) mhlw.go.jp
・日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(国民年金の満額は月70,608円) nenkin.go.jp
・厚生労働省「簡易生命表」令和7年 mhlw.go.jp
・厚生労働省「就労条件総合調査」令和5年 mhlw.go.jp
・金融庁「NISAを知る」 fsa.go.jp
・金融庁 麻生大臣の閣議後記者会見(2019年6月11日) fsa.go.jp
・金融庁 金融審議会市場ワーキング・グループ報告書(2019年6月) fsa.go.jp
基準年度:令和8年度(家計調査は2025年) 最終確認:2026年11月6日
※このシミュレーションの結果は目安です。実際の年金額や生活費は人によって違います。個別の判断は、年金事務所やファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。
※計算で省いていること:物価上昇(いまの価値で計算)/年金の繰上げ・繰下げ/退職後の収入(年金の欄に足した場合のみ反映)/夫婦の年齢差と、65歳より前に受け取る年金/60〜64歳の国民健康保険料・国民年金保険料/医療費・介護費の増加/貯蓄・退職金の運用(運用するのは毎月の積立分だけ)/住宅や教育などのまとまった支出/夫婦の片方が亡くなった後の変化/退職後の運用益。年金にかかる税金・保険料は、平均的な割合での概算です。万円未満は四捨五入(毎月の積立額は0.1万円未満を切り上げ)しています。