年収の壁のしくみ(かんたん解説)
「年収の壁」は、年収がある額を超えると税金や社会保険料がかかり始める境目のことです。税金の壁は、超えた分に少しずつ税金がかかるだけなので、手取りが大きく減ることはありません。手取りがはっきり減るのは、社会保険の扶養を外れる壁(130万円など)です。2025年・2026年の改正で、税金の壁は大きく上がりました。
| 年収 | 何が起きるか(2026年) |
|---|---|
| 119万円超 | 本人に住民税がかかり始める(1級地。2級地・3級地は少し低い。17歳以下の未成年は209万円超) |
| 130万円以上 | 社会保険の扶養を外れ、国民健康保険・国民年金を自分で払う(60歳以上は180万円、19〜22歳は150万円) |
| 136万円超 | 配偶者控除が配偶者特別控除に変わる(169万円までは控除額は同じ)。16〜18歳の子は親の扶養控除がなくなる。19〜22歳の子は特定親族特別控除に変わる |
| 178万円超 | 本人に所得税がかかり始める(以前の「103万円の壁」。2025年分は160万円) |
| 207万円超 | 配偶者特別控除がなくなる(19〜22歳の子の特定親族特別控除は197万円超でなくなる) |
| 年収に関係なし | 週20時間以上・従業員51人以上の会社なら、勤め先の社会保険に入る(以前の「106万円の壁」は2026年10月に廃止) |
世帯の手取り 早見表(2026年)
【配偶者】40歳未満・週20時間未満、夫(妻)は会社員で年収500万円の場合。単位は万円
| 年収 | 本人の手取り | 家族の税↑ | 世帯に残る |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 100.0 | 0.0 | 100.0 |
| 120万円 | 119.4 | 0.0 | 119.4 |
| 129万円 | 127.5 | 0.0 | 127.5 |
| 130万円 | 99.9 | 0.0 | 99.9 |
| 150万円 | 117.7 | 0.0 | 117.7 |
| 170万円 | 134.0 | 0.1 | 133.9 |
| 200万円 | 158.1 | 4.3 | 153.8 |
【19〜22歳の子】学生、親は会社員で年収600万円の場合。単位は万円
| 年収 | 本人の手取り | 家族の税↑ | 世帯に残る |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 100.0 | 0.0 | 100.0 |
| 136万円 | 135.5 | 0.0 | 135.5 |
| 149万円 | 148.2 | 0.0 | 148.2 |
| 150万円 | 139.3 | 0.0 | 139.3 |
| 170万円 | 153.3 | 1.9 | 151.4 |
| 200万円 | 177.1 | 10.2 | 166.9 |
国民健康保険料は東京23区の令和8年度の料率で計算しています。住んでいる市区町村によって年数万円変わります。
計算のしかた
※扶養している人の税金は、配偶者控除・扶養控除などが減る分だけ増えます。増える額 = 減った控除 ×(その人の所得税率×1.021+住民税10%)が目安です。
たとえば40歳未満のパートの妻(週20時間未満)が、年収129万円から130万円になった場合(夫は会社員・年収500万円):
- 130万円以上になると夫の扶養を外れ、国民健康保険と国民年金に入ります
- 国民健康保険料(東京23区):所得56万円−43万円=13万円に料率をかけた分+1人あたりの額=年80,800円
- 国民年金保険料:17,920円×12か月=年215,040円
- 住民税:保険料を払う分だけ所得割はかからず、均等割の5,000円だけ
手取りは 1,300,000円 − 295,840円 − 5,000円 = 999,160円。年収129万9,999円のとき(約128.4万円)より約28.5万円少なくなり、取り戻すには年収約163.1万円まで働く必要があります。夫の配偶者控除(38万円)は169万円まで変わらないので、夫の税金は増えません。
ケース別の注意
- 週20時間以上・従業員51人以上の会社:2026年10月に「月8.8万円(年106万円)」の基準がなくなり、年収に関係なく勤め先の健康保険・厚生年金に入ります(月8.8万円未満の人は10月から加入。2026年の保険料はこのツールでも10〜12月分だけで計算します)。保険料は会社と半分ずつで、将来の厚生年金が増え、病気で休んだときの傷病手当金も受けられます。会社の規模の基準は、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上へ広がります。
- 週30時間以上(正社員の4分の3以上):会社の規模や年収に関係なく、勤め先の社会保険に入ります。
- 大学生・高校生:昼間の学生は、週20時間以上でも勤め先の社会保険には原則入りません。19〜22歳は扶養の基準が150万円(2025年10月から)、それ以外は130万円です。国民年金は20歳から払う必要がありますが、学生は「学生納付特例」で猶予できます(このツールでは猶予する前提です)。
- 60歳以上の配偶者:扶養の基準は180万円です。60歳からは国民年金の保険料もかかりません。年金を受け取っている人は、年金も年収に含めて判定されます。
- 扶養している人の年収が低い場合:同じ世帯なら、扶養される人の年収が扶養している人の半分未満であることも条件です(半分以上でも、130万円未満なら認められることがあります)。
- 一時的に収入が増えたとき:人手不足による残業などで一時的に130万円を超えても、勤め先の「一時的な収入増加」の証明があれば、扶養のままでいられることがあります(続けて2回まで)。2026年4月からは、労働契約で決まった時給・労働時間から見込まれる年収で判定されます。
- 勤め先の家族手当(配偶者手当):扶養している人の会社の手当は、会社ごとに「103万円」「130万円」などの基準があります。このツールには入っていないので、就業規則で確認してください。
よくある質問
「106万円の壁」はなくなったのですか?
はい。勤め先の社会保険に入る条件のうち「月額8.8万円以上(年収約106万円)」は、2026年10月1日に撤廃されました。今は、週20時間以上・従業員51人以上の会社・学生でない、を満たすと、年収に関係なく加入します。保険料は増えますが、会社が半分払い、将来の厚生年金が増えます。
「103万円の壁」は今いくらですか?
本人に所得税がかかり始める年収は、2026年分は178万円です(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)。2025年分は160万円でした。家族の配偶者控除・扶養控除の対象になる年収は136万円です(配偶者は136万円を超えても169万円までは同じ額の配偶者特別控除が受けられます)。
扶養を外れて損をしないのは、年収いくらからですか?
社会保険の扶養を外れて国民健康保険・国民年金に入る場合、40歳未満の配偶者なら年収約163.1万円(東京23区の場合)まで働くと、129万円台のときの手取りに戻ります。40〜59歳は介護保険料が加わるので約166.5万円です。19〜22歳の学生は150万円の壁を超えると、約161.6万円で戻ります。住んでいる市区町村の国民健康保険料で変わるので、上の計算で確かめてください。
130万円には交通費も含まれますか?
社会保険の扶養の判定では、交通費(通勤手当)も含みます。税金の計算では、月15万円までの交通費は含みません。交通費が多い人は、税金の壁より先に社会保険の壁に当たりやすいので注意してください。
大学生のバイトは年収いくらまでなら大丈夫ですか?
19〜22歳の学生なら、150万円未満なら親の健康保険の扶養のままです。所得税は178万円までかかりません(163万円以下なら勤労学生控除で住民税も軽くなります)。親の税金は、子の年収が136万円を超えると特定扶養控除(63万円)が特定親族特別控除に変わりますが、159万円までは同じ額なので、親の税金は増えません。
年の途中で壁を超えそうになったら、どうすればいいですか?
税金の壁は1〜12月の合計で決まるので、年末に向けてシフトを減らせば間に合います。社会保険の扶養は「これから1年の見込み」で判定されるため、時給や労働時間の契約が上がって130万円以上の見込みになった時点で外れます。迷ったら、勤め先や扶養している人の会社(健康保険)に早めに相談してください。
出典
・国税庁「基礎控除(令和8年分・9年分)」「配偶者特別控除」「特定親族特別控除」 nta.go.jp
・国税庁「令和8年分 年末調整のしかた(給与所得控除)」 nta.go.jp
・総務省「個人住民税の改正(給与所得控除・非課税限度額)」 soumu.go.jp
・杉並区「個人住民税の改正(令和9年度分:扶養要件62万円・勤労学生89万円)」 city.suginami.tokyo.jp
・日本年金機構「短時間労働者の賃金要件の撤廃(2026年10月1日)」 nenkin.go.jp
・厚生労働省「社会保険適用拡大(企業規模要件の縮小)」 mhlw.go.jp
・厚生労働省「被扶養者の収入の確認(労働契約の内容による判定・令和7年10月1日通知)」 mhlw.go.jp
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」 mhlw.go.jp
・日本年金機構「国民年金保険料(令和8年度 月額17,920円)」 nenkin.go.jp
・協会けんぽ「令和8年度 保険料率(東京)」 kyoukaikenpo.or.jp
・厚生労働省「雇用保険料率(令和8年度)」 mhlw.go.jp
基準年度:所得税は令和8年分、住民税は令和9年度、社会保険は2026年度 最終確認:2026年11月8日
関連する計算ツール
- 手取り 計算シミュレーション(年収からの手取り)
- 社会保険料 計算シミュレーション(給与から引かれる社会保険料)
- 所得税 計算シミュレーション(1年分の所得税)
- 住民税 計算シミュレーション(住民税の年額と毎月の天引き)
- 国民健康保険料 計算シミュレーション(扶養を外れたときの国民健康保険料を、住んでいる市で計算)
- 厚生年金 計算シミュレーション(厚生年金の部分と加給年金)
- 教育費 シミュレーション(子どもにかかるお金の見通し)
※このシミュレーションの結果は目安です。扶養に入れるかどうかは、扶養している人の勤め先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)が決めます。個別の判断は、勤め先・健康保険・税務署や専門家にご相談ください。
※計算に入れていないこと:給与以外の収入(年金・事業・副業の業務委託など)/交通費を分けた計算(入力した年収を社会保険・税金の両方に使います)/扶養している人が自営業・健康保険組合・共済の場合の違い(会社員・協会けんぽ東京・40歳未満・ボーナスなしとして、その人の税率を計算)/扶養している人のほかの控除(ほかの家族・住宅ローン控除など。税率が変わると増える税額も少し変わります)/勤め先の家族手当(配偶者手当)/国民健康保険料の軽減・市区町村ごとの料率の違い(東京23区の令和8年度の料率で1年分。実際は前年の所得で決まり、加入した月から払います)/2級地・3級地の住民税の基準(1級地で計算)/16〜18歳の子は2027年1月1日に17歳以下(未成年)として住民税を計算(18歳の人は住民税が少しかかります)/扶養している人の住民税の調整控除のうち、配偶者特別控除・特定親族特別控除の人的控除の差(数千円の差)/65〜69歳の介護保険料(年金から別に払う)・70歳以上/学生が週30時間以上働いて勤め先の社会保険に入る場合・夜間や通信制の学生/国民年金の学生納付特例を使わない場合(年215,040円が加わります)/23歳以上の子・親など、ほかの家族/扶養から外れる年の途中からの保険料の月割り(週20〜30時間・51人以上で月8.8万円未満の人だけ、2026年は10〜12月の3か月分で計算)。