住宅ローン控除のしくみ(かんたん解説)
住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、ローンで家を買った人の税金を、毎年「年末のローン残高×0.7%」だけ減らす制度です。新築なら最長13年間続きます。
減るのはまず所得税です。所得税から引ききれない分は、翌年の住民税から引かれます。ただし住民税から引けるのは、所得税の課税所得の5%まで(最高9万7,500円)です。そのため、年収が低い人や扶養家族が多い人は、控除の枠を使いきれないことがあります。
借入額の上限と控除の期間(2026年・2027年に入居する場合)
| 省エネの性能 | 新築・買取再販 | 中古住宅 |
|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500 (5,000) | 3,500 (4,500) |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500 (4,500) | 3,500 (4,500) |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000 (3,000) | 2,000 (3,000) |
| それ以外の住宅 | 2,000※ 10年 | 2,000 10年 |
単位は万円。( )は子育て世帯・若者夫婦世帯の上限です。期間は書いていないものが13年です。※新築は、建築確認が2023年12月31日まで、または2024年6月30日までに完成したものだけが対象です。床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は、上乗せがなく、合計所得1,000万円以下の年だけ使えます。
2024年・2025年の入居では、新築の省エネ基準適合住宅が3,000万円(子育て世帯等4,000万円)、中古住宅は省エネの性能がある住宅で3,000万円・10年です。2026年からは中古住宅の上限と期間が広がりました(令和8年度の税制改正)。
早見表:年収別の、1年に引ける税金の上限(会社員)
| 年収 | 独身・共働き | 配偶者を扶養 |
|---|---|---|
| 300万円 | 5.2 | 1.4 |
| 400万円 | 11.2 | 7.4 |
| 500万円 | 17.9 | 14.1 |
| 600万円 | 24.3 | 20.5 |
| 700万円 | 36.8 | 31.1 |
| 800万円 | 52.3 | 44.7 |
| 1,000万円 | 90.2 | 82.6 |
単位は万円。所得税の額と、住民税から引ける上限(所得税の課税所得の5%・最高9.75万円)の合計です。社会保険料は協会けんぽ(東京)・40歳未満・ボーナスなしで見積もっています。1年の控除額(年末残高×0.7%、2026年入居の新築ZEH水準で最大24.5万円)がこの上限より大きいと、超えた分は戻りません。
計算のしかた
② 所得税から引く = ①と所得税の額の少ないほう
③ 住民税から引く = 残りと「課税所得×5%(最高97,500円)」の少ないほう
④ ①−②−③ が残れば、その分は戻りません
例:2026年4月に新築のZEH水準省エネ住宅に入居し、4,000万円を金利0.8%・35年で借りた、年収600万円の独身の会社員の場合。
- 2026年末の残高は約3,934万円ですが、上限が3,500万円なので、3,500万円×0.7%=24万5,000円が1年の控除額です。
- 所得税の額は14万6,300円なので、所得税は全額(14万6,300円)引かれます。復興特別所得税も2.1%分減り、所得税は合計14万9,300円減ります。
- 残りの9万8,700円は住民税へ。上限は課税所得243.8万円×5%=12万1,900円→最高額の9万7,500円です。1,200円は引ききれません。
- 1年目に戻る税金は合計24万6,800円、13年間の合計は約296.8万円です。残高が3,500万円を下回る6年目からは、控除額が少しずつ減ります。
ケース別の注意
- 1年目は確定申告が必要です。会社員も、入居した年の翌年2月16日〜3月15日に申告します(還付の申告は1月から可能)。2年目からは年末調整で受けられます。自営業の人は毎年の確定申告で受けます。
- 夫婦でペアローン・連帯債務の場合は、夫婦それぞれが自分のローン(負担分)について控除を受けます。このツールは1人分を計算するので、夫婦それぞれの借入額・年収で2回計算して足してください。子育て世帯・若者夫婦世帯の判定も1人ずつです。夫婦とも40歳以上なら、19歳未満の子どもを扶養に入れていない側は「いいえ」で計算します。持ち分と返済の負担が合わないと贈与税がかかることがあります。
- 繰上返済で、最初の返済から最後の返済までの期間が10年未満になると、その年から控除が受けられなくなります。期間を短くする繰上返済は、控除の期間が終わってからのほうが有利なことが多いです。
- 中古住宅は、1982年(昭和57年)以降に建てられた住宅(新耐震基準)であることが条件です。それより古い場合は耐震基準を満たす証明が必要です。買ったあとに耐震改修をして対象にする住宅(要耐震改修住宅)は、省エネの性能にかかわらず「それ以外の住宅」(2,000万円・10年)として選んでください。
- ふるさと納税の上限額は、住宅ローン控除で直接は下がりません。ただし住宅ローン控除で所得税が0になる人は、確定申告でふるさと納税をすると所得税の分が効かず、寄付で課税所得が下がる分、住民税から引ける住宅ローン控除の枠(課税所得×5%)も小さくなることがあります。1年目は確定申告をするのでワンストップ特例は使えません。2年目からはワンストップ特例を使うと、寄付の控除がすべて住民税から引かれ、この影響を受けにくくなります。
- 2027年から、所得税に防衛特別所得税(1%)が加わり、復興特別所得税は2.1%→1.1%に下がります。合計の税率は変わらないので、戻る額の目安も変わりません。
よくある質問
住宅ローン控除で戻るお金はいつ、どうやって受け取りますか?
所得税の分は、1年目は確定申告の後に銀行口座へ振り込まれ(申告から1か月半ほど)、2年目からは年末調整で12月か1月の給与と一緒に戻ります。住民税の分は戻ってくるのではなく、翌年6月から引かれる住民税が少なくなります。住民税の手続きはいりません。
13年間、毎年同じ額が戻りますか?
同じではありません。控除額は「年末の残高×0.7%」なので、返済で残高が減ると少しずつ減ります。ただし借入額が上限より多い人は、残高が上限を下回るまでは同じ額です。年収が下がったり扶養家族が増えたりして税金が減ると、戻る額も減ります。
年収いくらなら、控除を全部使いきれますか?
2026年入居の新築ZEH水準(上限3,500万円)で控除額が最大の24.5万円の場合、独身の会社員なら年収600万円くらい(所得税14.6万円+住民税の上限9.75万円)でほぼ使いきれます。配偶者を扶養している場合は年収650万円くらいが目安です。上の早見表で、年収ごとの上限を確かめられます。
省エネ基準を満たさない新築は、本当に控除が受けられないのですか?
2024年以降に入居する新築は、原則として省エネ基準に適合していることが条件です。例外は、建築確認を2023年12月31日までに受けたか、2024年6月30日までに完成した住宅で、この場合は2,000万円・10年です。中古住宅と買取再販は、省エネ基準を満たさなくても2,000万円・10年で対象です。
住宅ローン控除と医療費控除・iDeCoは一緒に使えますか?
一緒に使えます。ただし医療費控除やiDeCoで所得税が減ると、住宅ローン控除で引ける所得税も減ります。住宅ローン控除を使いきれていない人は、医療費控除やiDeCoの節税効果が小さくなることがあります。このツールの「ほかの所得控除」に入れると、その影響まで計算できます。
住民税から引ける上限の9万7,500円は、どういう意味ですか?
所得税から引ききれなかった控除の残りを、住民税から引ける上限です。上限は「所得税の課税所得×5%」で、最高9万7,500円です。たとえば課税所得が150万円なら7万5,000円までです。それを超えた分は戻りません。
出典
・国税庁「No.1211-1 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」「No.1211-2 買取再販住宅の取得」「No.1211-3 中古住宅の取得」(令和8年4月1日現在法令等) nta.go.jp
・国税庁 質疑応答事例「繰上返済により償還期間が10年未満となった場合」 nta.go.jp
・財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定) mof.go.jp
・国土交通省「住宅ローン減税」 mlit.go.jp
・所得税・住民税の計算は、所得税の計算・住民税の計算と同じ式(令和8年分)
基準:令和8年4月1日現在の法令(2024〜2027年入居分) 最終確認:2026年11月8日
関連する計算ツール
- 所得税 計算シミュレーション(1年分の所得税)
- 住民税 計算シミュレーション(住民税の年額と毎月の天引き)
- 手取り 計算シミュレーション(年収からの手取り)
- 贈与税 計算シミュレーション(親・祖父母から住宅資金をもらうときの非課税)
- 医療費控除 計算シミュレーション(確定申告で戻る税金)
- iDeCo シミュレーション(積み立ての節税額)
- 教育費 シミュレーション(子どもにかかるお金の見通し)
※このシミュレーションの結果は目安です。実際に控除が受けられるかと金額は、税務署(確定申告)・勤め先(年末調整)で決まります。個別の判断は、税務署や税理士、住宅の販売会社・金融機関にご相談ください。
※計算で省いていること:年収・家族構成は入居した年から毎年同じとしています。税金は、2024年分・2025年分はその年の基礎控除・給与所得控除で、2026年分以降はすべて2026年分(令和8年分)の税制で計算しています(2028年分からの給与所得控除・基礎控除の見直し、2024年の定額減税、社会保険料率の年ごとの違いは入れていません)。ローンは入居した月に借りて翌月から毎月返す元利均等返済とし、つなぎ融資・分割実行、ボーナス返済・金利の変動・繰上返済・返済額の円未満の端数は入れていません。住宅を取得してから6か月以内に住みはじめていること、借入額のうち補助金や非課税の住宅資金の贈与に当たる分を除いていることを前提にしています。土地だけ先に買った場合、リフォーム(増改築)の控除、2023年以前の入居、2024・2025年入居で床面積40㎡台の住宅、災害で住めなくなった場合などは計算していません。社会保険料は会社員なら協会けんぽ(東京)・40歳未満(介護保険料なし)・ボーナスなし、自営業なら所得の10%(国民健康保険・上限109万円)+国民年金で見積もり、給与と事業の両方がある人や年金で暮らす人の計算はしていません。扶養家族は全員「一般の扶養親族(38万円)」、本人の障害者・ひとり親などの控除はないものとしています。住民税は標準の税率(10%)で、市区町村ごとの端数の処理は入れていません。