退職金の税金のしくみ(かんたん解説)
退職金は、給料とは別の「退職所得」として税金が計算されます。勤続年数が長いほど大きな非課税枠(退職所得控除)が使え、枠を超えた部分も半分にして税金をかけるため、給料に比べて税金が軽くなっています。所得税と住民税は別々に計算し、どちらも退職金を受け取るときに会社が引いて納めてくれます。
| 給料・ボーナス | 退職金 | |
|---|---|---|
| 非課税の枠 | 給与所得控除・基礎控除など | 勤続年数で決まる退職所得控除 |
| 課税される部分 | ほぼ全額 | 枠を超えた部分の半分(原則) |
| 他の収入との合算 | する | しない(単独で計算) |
退職所得控除額の早見表
| 勤続年数 | 控除額(非課税の枠) |
|---|---|
| 5年 | 200万円 |
| 10年 | 400万円 |
| 15年 | 600万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 35年 | 1,850万円 |
| 38年 | 2,060万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
障害者になったことが直接の原因の退職は、上の金額に100万円が加わります。
計算のしかた
② 税金のもと(課税退職所得)=(退職金−①)×1/2(1,000円未満切り捨て)
③ 所得税=②×税率−控除額(下の表)に、復興特別所得税2.1%を足す
④ 住民税=②×10%(市町村民税6%と都道府県民税4%を、それぞれ100円未満切り捨て)
※勤続5年以下のときは②の「1/2」の扱いが変わります(下の「ケース別の注意」)。
| ②の金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
たとえば勤続30年・退職金2,000万円の場合、①=800万円+70万円×10年=1,500万円、②=(2,000万円−1,500万円)×1/2=250万円です。所得税は250万円×10%−97,500円=152,500円、復興税を足して155,702円、住民税は250万円×10%=250,000円。合計405,702円で、手取りは約1,959万円になります。
ケース別の注意
- 勤続5年以下の会社員・パート:(退職金−控除額)が300万円を超える部分は、1/2にならず全額が課税の対象です。300万円までの部分は1/2です。
- 勤続5年以下の役員:(退職金−控除額)の全額が課税の対象になり、1/2になりません。
- 申告書を出していない:控除が使われず、退職金の20.42%が一律に所得税として引かれます。正しい税額との差は、確定申告をすると戻る見込みです。
- iDeCo・企業型DCの一時金や、前の退職金がある:期間の重なりがあると、退職所得控除が減ることがあります。令和8年(2026年)1月からは、DCの一時金を先に受け取って退職金を後で受け取る場合の調整期間が、前年以前4年内から9年内に延びました。このツールでは計算に入れていません。
よくある質問
退職金はいくらまで税金がかからない?
退職金の額が退職所得控除額以下なら、所得税も住民税もかかりません。たとえば勤続20年なら800万円、勤続30年なら1,500万円までです。
勤続年数の端数(月数)はどう数える?
1年未満の端数は1年に切り上げます。10年1か月なら11年です。このツールも同じ数え方をしています。
「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れたら?
退職所得控除が使われず、退職金の額に20.42%の所得税が引かれます。引かれすぎた分は、翌年の確定申告で戻る見込みです。住民税は、申告書がなくても今回の退職金だけで計算した額が引かれます。
なぜ勤続20年を超えると控除が増えるの?
20年までは1年あたり40万円ですが、20年を超えた分は1年あたり70万円になります。長く勤めた人の老後資金に配慮した制度です。
退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取ると?
退職所得控除は両方を合わせて使うため、別々に使うより控除が小さくなることがあります。受け取る順番や間隔によって取り扱いが変わるので、事前に受け取り方を相談することをおすすめします。
一時金ではなく年金のように分けて受け取ると?
退職所得ではなく「雑所得」として、ほかの収入と合わせて税金が決まります。このツールは一時金で受け取る場合の計算です。
出典
・国税庁「タックスアンサー No.2732 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 nta.go.jp
・国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表(退職所得の速算表)」 nta.go.jp
・国税庁「タックスアンサー No.2737 役員等勤続年数が5年以下の人の退職金」 nta.go.jp
・国税庁「タックスアンサー No.2740・No.2741 勤続年数5年以下の退職手当等」 nta.go.jp
・広島市「退職所得の住民税」 city.hiroshima.lg.jp
基準年:令和8年分 最終確認:2026年11月6日
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※このシミュレーションの結果は目安です。実際の税額は、会社の支払時の計算や、確定申告などで決まります。個別の判断は、会社の担当部署・税務署・税理士などの専門家にご相談ください。
※計算に入れていないこと:iDeCo・企業型DCの一時金や前の退職金との期間の重なり調整、同じ年に複数の退職金を受け取る場合、役員と従業員の期間が両方ある場合の細かい判定、社会保険料、住んでいる自治体ごとの違い、年金形式での受け取り、確定申告での精算額。